増資には三種類ある
増資の目的は「資金調達」です。株を発行することで、株主から資金を得ることを目的にしているわけですね。
増資は、どのような人に株を発行するのか(売るのか)で以下の3つに分類できます。
・公募増資
・株主割当増資
・第三者割当増資
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第三者割当増資とは?
この中の第三者割当増資を簡単に説明すると、「××さん(特定の人物)、この株式を××円で購入しませんか?」ということです。つまり、特定の人物に株式を売ることによって、会社は資金を調達します。
この第三者割当って、何も規制しないままだと、かなりズルく使えます。例えば以下です。
Aさんが、会社の株式の大半を所有していました。Aさんは、株主総会で何かとうるさいので、取締役は、Aさんをどうにかしたかったのですが、会社の所有権はAさんにあります。なので、取締役はAさんに、ただビクビクするだけの日々を過ごしていました。
取締役は、ある日、「第三者割当増資」のことを思い出しました。第三者割当増資で、自分の息のかかったBさんに、大量の株式を売ると、Aさんに何もされないままに、Aさんの株式の保有比率を下げることができますよね。
<第三者割当増資 前>
<第三者割当増資 後>
株数全体から見ると、Aさんの株保有率は低くなる
「これで、うるさい株主Aさんは消えて、自分のいいなりのBさんに。良かった。良かった」
…こうなるとおかしいですよね。
会社の所有者はAさんです。取締役はAさんに雇われただけです。第三者割当増資に何も規制しないとこのようなことが起きてしまいます。
そこで、第三者割当をする場合は、既存の株主を保護する為に、株主総会の特別決議を要するわけです。株主総会でOKをとれない限り、取締役は、勝手に第三者増資できません。
※)特別決議:総株主の議決権の過半数に当たる株式を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上が賛成することによって成立します。